karesansui を使ってみての感想

自宅の KVM 環境に karesansui をインストールしてみたのでその感想など。

[環境]
OS :CentOS 5.5 x86_64
karesansui:2.0.1

[動機]
もともと標準の virt-managerを使って Hadoop の勉強用VMを管理していたのだけど、どうもサーバでX立ち上げて、vnc でアクセスするというやり方が好きになれないので、Webで管理できるものはないのかと探していて行きあたりました。
会社の仮想環境をそろそろどうにかしないといけないのでその調査も兼ねています。

[インストール]
karesansui のサイトからアーカイブをダウンロードして tar を展開。
karesansui-install を実行するとUIが出てくるのでそれに従ってインストールすれば良いです。
パッケージ関係が不十分だとインストーラ起動時にエラーになるので、エラー内容に応じた作業をします.
私の環境ではperlのライブラリなどを要求されました。
libvirt などは hde の独自のものを使うため予めアンインストールが必要でした。

注意点としてインストーラは、peth0 を物理インタフェース、eth0 をブリッジインタフェースとして設定しようとすること。
自分の環境ではもともと KVM 入れておりブリッジインタフェース br0 を作っていたため、その辺の設定がうまくいかなかったようで、VMを作ろうとすると eth0 をネットワークインタフェースとして使おうとしてブリッジインタフェースでないためエラーになっていました。
仕方ないので、手で peth0 を物理インタフェース eth0 をブリッジとして登録し直しました。

[WebUI]
URLは以下

https:///karesansui/v2/

v2まで入れないとアクセス出来ないのが不親切な気がします。
ログインはインストール時に設定したメールアドレスとパスワードで。
実際のVMの登録などはUI見れば大体分かる感じですかね。
VNCによるリモートコンソールもあるのでひと通りの作業は出来ます。

WebUIは TOP -> ホストサーバ -> VM という構造になっており、複数のkaresansui ホストサーバが管理できるような構造になっています。(実際どの程度出来るかは不明)
各ホスト毎に、ネットワーク、ストレージプールなどを管理。
VMの新規登録や起動などの処理はジョブとしてキューイングされ処理されます。
ジョブは一覧や詳細は見れるがジョブのキャンセルなどは出来ないようです。

ストレージプールはdefault として /var/opt/hde/libvirt/domains/ が割り当てられており、この下にゲストOSを保管できます。が、 /var に少ししか割り当ててなかったので追加でストレージプールを追加して使っています。
あとネットワークストレージとして iSCSI も使うことが出来るようだけど環境がないので試していません。

[既存のVMの登録]
もともと VMvirt-manager で管理していたのでそれを karesansui から管理したかったのだけど、karesansui としてはインポート機能は提供されていない模様。
このため、新規に VM をダミーで作成し、作成時に生成されたイメージファイルを、書き換えることで対応しました。
img ファイル自体は <ストレージプール>//images/*.img に置かれているのでこれを上書きします。
なお img ファイルのフォーマット(raw, qcow2)を元のものと合わせて置かないと起動時にエラーになるので注意。
あと ダミー VM登録時に mac アドレスも合わせておいたほうがネットワークの設定をし直さなくて良くて良いかもしれません。virt-managerで管理されている元のVMMACアドレスは /etc/libvirt/qemu/ 以下のXMLファイルを見れば分かります。

[良い点]

  • インストールが手軽
  • WebUIのデザインが綺麗
  • VNC によるリモートコンソールに対応している
  • 複数のホストサーバを管理できそう(未確認)

[問題点]

  • Web UI のレスポンスが悪い。 Core-i5 のPCで負荷が掛かっているわけでもないのにレスポンスが全体的に悪い
  • Web UI の使い勝手が全般的に悪い。とくにVMの登録時のエラーチェックが甘く、折角登録しても起動で失敗になる。問題を調べて解決しようと思っても登録したVMの設定の変更はほとんど何もできないようです。

結局もう一度つくり直すしかないということが度々有りました。この辺かなり苦痛なのでどうにかして欲しい。そもそもVNCのポート番号が重複していて起動できないなんて、VM登録するときに指摘して対処すべきことの気がします。

  • job の管理がおかしい

 jobが時々止まってしまい何も出来なくなってしまうことが有りました。jobの管理画面はあるけどjobのキャンセル処理なども出来ないので厄介。

  • ストレージプールが オフラインになった。

 virt-managerVMインポートするためにimgの変換とかいろいろいじくっていたらストレージプール自体がoffにされてしまいました。VMファイルが一時的に見えなくなってしまったせいだとは思うが全体をoff にするのはどうだろう。

  • 登録したVMが設定の問題でうまく動かないことがたくさんあったのだけど、原因を調べるには対応するjob の詳細画面から見れるコマンドのエラー出力から原因を解析する必要があり面倒。

[感想]
現状では、まだまだ改善事項が多くすぐに業務などで使えるという感じではないなあというのが率直な感想です。
ただ比較的手軽にインストールできるし、機能が豊富でない分使い方も適当に触っていればなんとなく分かる感じなのは良いと思います。

karesansui がこの後どういう方向に行くのか気になります。いわゆるプライベートクラウド構築ソフトウェアとしては Eucalyptus や OpenStack などがあるし、国内でも Wakame-vdc などがある状況でこれらを追いかけていくのは厳しそう。手軽に使える仮想化管理 WebUI という位置づけを目指していくのでしょうか。
個人的には Wakame-vdc も気になっているのだけど物理サーバが2台必要で環境が用意出来ていないのでまだ未評価です。環境が用意できたら試してみたいと思っています。